その少女は物心がついた頃から、強い霊能力のある子供でした。
その能力を知った両親は、少女の「力」を決して口外しないように、そしてその能力を絶対に使わないように厳しく命じました。 命じられるままに、その能力を封印すると、いつの日か霊は現れなくなり、現実のヒト以外、少女の目に映ることはありませんでした。
月日は流れ、少女は大人になり、兼ねてより希望していた某化粧品メーカーの商品企画部に入社。忙しくもやりがいのある日々。仕事が終われば飲みにも、遊びにも行く、オシャレや恋も楽しむ、どこにでもいるごく普通のOLとして毎日を楽しんでいました。
しかし、彼女は悩みました。20年もの歳月を経て、再び目の前に現れだした霊は、決して美しいものではなかったから。 悲しげに佇むだけのものならまだしも、腕や脚のないもの、頭の半分がなく血まみれの、目をそらしたくなるものもいる。それをこれから見続けいかなければならないのかと。 一方、彼女は驚きました。日常にあふれるほどいる霊の数もさることながら、霊に憑かれている人のいかに多いかということに。 彼女はごく親しい友人にだけ、自分の能力を打ち明け、ごく限られた人の霊障(霊が原因で体調や運気に支障をきたす症状)を解決しました。 彼女の能力で楽になることができた人々は、とても感謝しました。やがてその能力は噂で広がり、気がつくと仕事が休みの週末にはほぼ予約で埋まるほど、多くの人の霊障と向き合う生活になっていました。
仁迦智として生まれ変わった彼女は、現在も修行を続けながら、霊視カウンセラーとして、日々多くの人々の霊障と向き合い、自分に課せられた使命を遂行しています。